「NISAの画面を開いたら、真っ赤になっていた」
「買ったばかりの株が、どんどん下がっていく……」

2026年11月6日、日経平均株価は1日で3,600円を超える大きな下げとなりました。ニュースで「暴落」という言葉を目にして、胸がざわざわしている方も多いと思います。

ひとくちに「株価の下落が不安」といっても、実は2つのタイプがあります。

  • NISAやiDeCoで、投資信託をコツコツ積み立てている人
  • 個別の会社の株を買って、株式投資をしている人

この2つは、下落したときに考えるべきことがまったくちがいます。この記事では、証券会社で16年間お客さまを担当し、いまは商品を売らない独立系FPとして活動している立場から、それぞれの向き合い方をお伝えします。

まず、深呼吸を。不安になるのは向き合っている証拠です

大切なお金が減っていくのを見て、不安にならない人はいません。不安になるのは、あなたが弱いからでも、投資に向いていないからでもありません。自分のお金にきちんと向き合っているからこそです。

ただ、不安な気持ちのまま大きな決断をすると、あとから後悔しやすくなります。「今すぐ決めなくていい」と、まずは自分に声をかけてあげてください。

過去にも、大きな下落は何度もありました

いつ何が起きたかその後
2008年
リーマン・ショック
世界の株価が、高値から半分近くまで下がりました元の水準に戻るまで数年かかりました
2020年
コロナ・ショック
日経平均は約1か月で3割ほど下がりました同じ年の秋には、下落前の水準まで戻りました
2024年8月5日日経平均が1日で4,451円下がり、過去最大の下げ幅になりました翌日は過去最大の上げ幅(3,217円高)になりました

回復までの期間はそのときによってバラバラで、「必ずすぐ戻る」とは言えません。それでも、世界の経済が成長を続けるなかで、長い目で見れば株価は下落を乗りこえてきた、という歴史があります。

※過去の値動きは将来の成果を保証するものではありません。

【積立投資の人へ】売らずに、止めずに、続けることがいちばん

NISAやiDeCoで、全世界株式などの投資信託を毎月積み立てている方に、いちばんお伝えしたいことはシンプルです。

売らない。止めない。いつもどおり続ける。

下がっている時期は「安く、たくさん買える」時期

毎月同じ金額で積み立てていると、価格が下がったときには、いつもより多くの口数を買うことができます。たくさん買えた口数は、価格が戻ったときに大きな力になります。積立を止めてしまうと、この「安く買える時期」を自分から手放すことになってしまいます。

売ると、マイナスが「確定した損」になる

画面に出ているマイナスは、まだ「評価額」が下がっているだけです。ここで売ってしまうと、その損が確定します。そして、もう一度始めるタイミングを見つけるのは、思っている以上にむずかしいものです。

アプリは閉じて大丈夫

積立の設定ができていれば、あとは自動で買い続けてくれます。一日に何度も評価額を見ると、不安がふくらむだけです。しばらくアプリを開かないのも、立派な対策です。

こんなときは、一度見直しを

  • 1〜2年以内に使う予定のお金(住宅の頭金・教育費など)まで投資に入っている
  • 生活費の半年〜1年分ほどの預金(生活防衛資金)が手元にない
  • 評価額が気になって眠れない・仕事や家事が手につかない

この場合は、あわてて売るのではなく、これからの積立額を調整する、預金を厚くするといった方法で、ご自身に合った形に整えていきましょう。

【株式投資の人へ】動く前に、いったん立ち止まって

個別の会社の株を持っている方は、積立投資とは考え方がちがいます。一つひとつの会社の株は、投資信託よりも値動きが大きく、会社によっては元の株価に戻らないこともあるからです。

ナンピン買いは、冷静になってから

「下がったから、買い増して平均の購入価格を下げよう」というのがナンピン買いです。うまくいけば早く取り戻せますが、下がった理由が分からないまま買い増すと、さらに下がったときに損失が大きくふくらみます。ひとつの会社にお金が集中してしまうのも心配です。

買い増しを考える前に、次のことを確認してみてください。

  • 下がったのは相場全体の下げに引きずられたから? それともその会社の業績や見通しが悪くなったから?
  • さらに半分になっても、生活に困らない金額?
  • 「取り返したい」という気持ちだけで動いていない?

今日あわてて決めなくても大丈夫です。気持ちが落ち着いてから判断しても、遅すぎることはほとんどありません。

ネットで見て「なんとなく」買った株、どうする?

SNSや動画で話題になっていた、AIや半導体が来ると聞いた……。そんなきっかけで買った株が大きく下がっていると、「持ち続けていいのか、売るべきか」が分からず、いちばん不安になりますよね。

まずは、紙やスマホのメモに書き出してみてください。

  1. その会社は、何をして稼いでいる会社ですか?
  2. なぜその株を買いましたか?
  3. どうなったら売ると決めていましたか?

もし答えられなかったとしても、自分を責めなくて大丈夫です。今回の下落は、「自分で判断できる知識を身につけよう」と気づけたきっかけだと考えてみてください。

知識がないと、情報に振り回されてしまう

下落が続くと、ネットには「まだ下がる」「今が買い時」と正反対の情報があふれます。自分の中に判断のものさしがないと、そのたびに気持ちが揺れて、売り買いをくり返してしまいがちです。

これからも株式投資を続けていくなら、次の2つの基本を身につけておくことが大切です。

  • ファンダメンタルズ……会社の業績や財務、事業の中身、配当など、「その会社にどれくらいの価値があるか」を見る力
  • チャート……株価の流れや勢い、売買の量など、「今どんな値動きになっているか」を読む力

この2つがあると、「この下げは相場全体の影響だから、慌てなくていい」「この会社は事業の見通しが変わったから、持ち方を考え直そう」と、自分の言葉で理由を説明して判断できるようになります。

証券会社16年で見てきたこと

証券会社でお客さまを担当していたころ、大きな下落は何度もありました。そのたびに感じたのは、下落そのものよりも、下落のときの向き合い方が、その後の結果を大きく分けるということです。

株式投資をされている方の中には、テレビやネットのニュースをそのまま信じて不安がどんどん大きくなり、こちらが落ち着いてお話ししても、なかなか耳を傾けていただけなかった方もいました。不安な気持ちが強いときほど、冷静な判断はむずかしくなるものです。

一方で、配当や株主優待を目的に株を持っている方は、目の前の株価に一喜一憂せず、下がった場面でも冷静に買付をされていました。「何のためにこの株を持っているのか」がはっきりしていると、下落にも振り回されにくいのだと思います。

また、ふだんから資金を管理して、下がってきたときに買えるお金を残しておける方も見てきました。そうした方にとって下落は、慌てる場面ではなく、準備していたとおりに落ち着いて行動できる場面になっていました。

大切なのは相場を当てることではなく、投資の目的をはっきりさせておくこと、下がっても慌てないように資金を管理しておくこと、そして情報に振り回されず自分で判断できる知識を持っておくことだと思っています。

よくある質問

Q. 積立を一時的に止めてもいいですか?
A. 家計が苦しいときや、預金を厚くしたいときは、減らす・止めるのも大丈夫です。ただ、「怖いから」という理由だけで止めるのは、安く買える時期を逃すことになり、もったいないことが多いです。

Q. ナンピン買いはしないほうがいいのですか?
A. いけないわけではありません。ただ、下がった理由を確認し、「さらに下がっても困らない金額」で、あらかじめ決めた計画にそって行うことが大切です。気持ちが揺れているときの買い増しは、一度立ち止まりましょう。

Q. 持っている株を売るべきか、教えてもらえますか?
A. お金のおけいこでは、個別の銘柄の売買やタイミングについての助言は行っていません。その代わり、ご自身で判断するための見方や考え方を、実際のチャートや決算の数字を見ながら一緒に身につけていきます。

ひとりで抱えこまず、一緒に整理しませんか

お金のおけいこは、保険も金融商品も販売しない独立系FPです。どの商品を選んでも、売っても続けても、私の収入は変わりません。だからこそ、中立の立場で一緒に考えられます。

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※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品や銘柄の売買をおすすめするものではありません。投資にはリスクがあり、元本は保証されません。最終的な判断はご自身でお願いいたします。

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